her favorite seasons に寄せて

実はこの"her favorite seasons"という作品を作る前に僕が長らく愛用していたiPod classicが故障してしまって、片耳からしか音が聴こえなくなってしまった。『最悪だ』と街のど真ん中で呟いた記憶が今でも蘇る。


それからしばらくはthe beatles、the beach boys、the zombies(これらはステレオとモノラルそれぞれ収録されてるCDも多い)などのモノラル録音のものばかり片耳で聴いていたのだけど、やはり満足できない。




小学五年生の頃愛用していたポータブルCDプレーヤーを引っ張り出して使うというアイデアを思いついたのは数日後のことだった。小学生当時はゆずのベストなんかを嬉々として聴いていたが今でも動いた。これならば両耳から聴けるとワクワクした。


しかしiPodと違い持ち運べるCDに限りがあって、僕の手荷物でいっぱいのリュックの中に入れられるCD(どうせならジャケットも含め持ち歩きたい!)は多くて5枚程度。つまり僕は家を出るまでにその日1日の僕が聴きたくなるであろうCDを数枚の制限の中で選ばなければいけなくなったのだ。


この"事件"が起こったのは去年の8月ぐらいであったが、girlsのalbum(バンド名を拝借した曲収録の大名盤!)、howlerのamerica give up(このアルバムでアイデアをたくさん拝借した!)、flipper’s guitarの海に行くつもりじゃなかった、なんてアルバムは頻繁にバックに入れて蒸し暑い街の中に出掛けていた。




僕は音楽が季節を引き立てて季節が音楽を引き立てる瞬間がとても好きで、今思えば8月に持ち歩いたアルバムはそんな瞬間に何度も出逢わせてくれた。自分が作品を作るならそんな作品を!と思い作ったのが"her favorite seasons"である。聴いてくれた人のお気に入りの季節にこの作品の曲達が共にあったらとても嬉しい。 (蛇足ではあるが春はサニーデイの東京、夏は上のアルバムたち、秋はyo la tengoのi can hear〜、冬はgregory porterのbe goodなんてものが自分にとってのそんなアルバムである。参考までに)




少し歌詞などについて話せば、季節が移って行く中で停滞するけれど居心地いい恋人たちの生活とか、言葉に出来ないなんとなくの次の季節への期待感とか、去ってしまうものへの寂しさとかがこのCDの全体を通したテーマになっている。(vo. かっちゃんの短篇ライナーノーツはそこを汲み取ってる気がする!さすが!)でもどうせ作品なんていいものであればあるほど、作者の意図なんて関係なく手に負えないぐらい大きなものになってしまうもんで語りすぎるのはやめよう。自由に解釈して聴いてほしい。


2時間で出来た曲もあれば二週間ぐらい悩みながらまとめた曲もあって、振り返れば感慨深い。作者として祈ることをいくつか。どうかこのCDが山積みのCD棚から(僕がそうしたみたいに)確信を持って選ばれるようなものでありますように、またその中に記録された音楽たちが夏に海辺に出かける時、秋に恋人と部屋にいる時、急に冷え切ったりやけに暖かくなったりする街を歩く時、歌詞なんかうろ覚えでかまわないから一曲でも口ずさまれるようなものでありますように。


Laura day romance  鈴木 迅



追伸 たくさんの人の力をこの一個の作品でもお借りしたけれど、まず一緒に作品に向き合ってくれたメンバー、エンジニアの二人に深い感謝を。そしてこの作品に全く型にはまっていないのにビビットでたまらなくチャーミングなジャケットをつけてくれた渋谷萌夏さんには頭が上がりません。良い作品になる資格をくれたようなものです。深い感謝を。

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